漫画『キングダム』の歴史上の人物は実在するのか?

漫画『キングダム』の歴史上の人物は実在するのか?

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キングダムは、古代中国の実話をもとにした作品だと言われています。では、全て実話に準えたストーリーであり、登場人物も史実に基づいて描かれているのでしょうか。当記事では、史実とキングダムを比較しながら、本作品が実話なのかどうか考察を深めています。漫画『キングダム』の歴史上の人物は実在するのか?

漫画『キングダム』とは?

キングダムが実話であるかどうかを確かめるには、まずはキングダムという作品について知る必要があります。ここではまずキングダムの原作者と作品概要、大まかなストーリーについて紹介します。オリジナルと実話とを比較する前に、予備知識をつけておきましょう。

漫画キングダムの作者

キングダムの原作者・原泰久(はらやすひさ)は1975年6月9日生まれの47歳(2023年1月時点)です。出身地は佐賀県三養基郡基山町(みやきぐん・きやまちょう)ですが、現在は福岡県に住んでいます。九州芸術工科大学(現在は九州大学に統合)と同大学院を卒業し、1999年に読み切り作品『於兎松(おどまつ)』でプロデビューを果たしました。キングダムは初の連載作品となります

漫画キングダムの概要

キングダムは、2006年から現在にわたり『週刊ヤングジャンプ』で連載中の漫画です。コミックスの累計発行部数は9200万部を突破し(2022年時点)、2013年には第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞している人気作品です。2011年からは通算4期のテレビアニメが放送され、2024年には5期が放送されることも発表されています。さらに、実写版映画の3作目も制作されており、今後のメディアミックスにも注目が集まる作品です。

漫画キングダムのあらすじ

キングダムの舞台は『春秋戦国時代』と呼ばれる、古代中国の戦国時代です。主人公の信は恵まれない出自ながらも、「天下の大将軍になる」という夢を達成すべく、親友の漂と鍛錬に励んでいました。しかしある日、影武者として王都に漂が召し出されてしまいます。そして単身王都へ足を運んだ信ですが、そこで見たものは瀕死の漂の姿でした。漂は信に夢を託して息を引き取り、その思いを受け取った信は、さまざまな登場人物との出会いや戦いを通し、大将軍になるべく成長を遂げていきます。

【キングダム】は実話?

キングダムには実在の人物と同じ名前のキャラクターが登場することが多く、キャラクターにはそれぞれモデルがいるのではないかと言われています。物語の舞台もかつて実在した地名や時代が登場するため、そのストーリーも実話を元にしていると考えられているようです。

キングダムは史記をモデルにしたストーリー

漫画『キングダム』の歴史上の人物は実在するのか?

キングダムのベースは史実であり、『史記』に記されている紀元前の中国を舞台に、実話を元にしながらストーリーが展開しています。ところがこの史記には、全ての記録が事細かに残っているわけではありません。人物の生没年が不明であったり、実在していたことは分かっていてもその詳細が明らかになっていなかったりと、謎に包まれている部分が多くあります。

キングダムはオリジナル要素も多い

キングダムの物語は史実をベースに練られていると紹介しました。しかし、そこには不明点も多く、史記から抜け落ちている部分は必然的に作者のオリジナルストーリーを盛り込む必要性があります。よってキングダムは、実話にオリジナル要素を加えた作品となっています。

キングダムと史実の比較

ここまでは、キングダムが実話とオリジナルをミックスした作品であることを述べてきました。では実際に、キングダムのストーリーと史実を比較してみましょう。今回は「実写映画」「合従軍との戦い」「成蟜の反乱」の3点に絞って解説します。史実とオリジナルストーリーとの違いを楽しみながらご覧ください。

史実との比較①実写映画

映画「キングダム」シリーズの特徴として挙げられるのは、それぞれのキャラクターの個性です。特に印象的だという意見が多かったのは、始皇帝の人物像についてでした。始皇帝といえば”残虐”というイメージを抱く人が多くいましたが、この映画を見たことで、本場中国では「始皇帝のイメージが変わった」という意見が多く湧き出たようです。

史実との比較②合従軍との戦い

キングダムの中でもかなりの盛り上がりを見せた合従軍編ですが、史実とは大きく異なるようです。キングダムにおける合従軍は、趙の李牧が中心となって発起し、春申君(しゅんしんくん)が総大将に据えられています。史実でも春申君が総大将であることには変わりありませんが、キングダムのように李牧が参戦し、参謀として活躍したという記述はありません。

史実との比較③成蟜の反乱

政の弟・成蟜(せいきょう)が反乱を起こしたのは、キングダムでも史実でも共通の事実です。史実での政は、キングダムでの設定とは違い冷酷かつ残虐な人物だったとされています。妾の子である政は、正妻の子である弟を警戒していたという説もあります。真偽や詳しい経緯は分かっておりませんが、キングダムと同様に「成蟜に反乱をけしかけた人物がいた」という説もあるようです。

【キングダム】実在した登場人物や武将

キングダムには「実在した人物や武将がモデルでは?」と推測される登場人物が多いようです。ここでは史実が元になったと考えられている登場人物を紹介します。史実と比較しながら、オリジナル要素についても解説しているので、各キャラクターのファンの方は必見です。

実在した登場人物①信

まずはキングダムの主人公・信(しん)です。信は641話にて自らを『李信』と名乗ったことから、実在の李信がモデルであることが明らかになりました。信は下僕という恵まれない出自でありながら、『天下の大将軍』になることを目指すハングリーなキャラクターとして描かれています。対してモデルとされている李信は、その出自がほとんど明らかになっていません。従ってここまでの信はほとんどオリジナル要素であり、これから史実に準えて活躍していくと考えられています。

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実在した登場人物②政

政(せい)のモデルは史実上の秦の始皇帝であるとされています。政は王族の中でも身分が低い生まれでした。敵国の趙にて人質として暮らしながら、実の母親から虐待を受け、やっとの思いで秦へ帰還するという過酷な幼少期を過ごしています。対して史実では、同様に幼少期を趙で過ごしたものの、秦へは手厚い保護を受けながら帰還したとされているようです。また、始皇帝は『暴君』として知られる残虐な性格の持ち主で、キングダムの政のように戦場で戦った記録は残っていません。

実在した登場人物③羌瘣

羌瘣(きょうかい)は実の姉のように慕っていた象(しょう)の仇を討つべく、幽連(ゆうれん)への復讐を目標に旅へ出ます。暗殺集団の一員として信と対立し、葛藤するストーリーも描かれました。史実での羌瘣は女性という記述がないため、おそらく男性であると考えられています。秦国の武将として嬴政に仕え、当時の趙の首都・邯鄲(かんたん)を攻め落とした人物です。暗殺集団であったという事実は明らかになっていません。

実在した登場人物④騰

キングダムの騰(とう)は王騎将軍の元副官でしたが、王騎の没後は秦国の将軍として尽力します。合同軍では楚の将軍・臨武君(りんぶくん)との一騎打ちで、圧倒的な強さを見せつけました。対して実在の騰はB.C.231年以前の記録はほとんど残っておらず、史実と照らし合わせるのであれば騰の活躍はこれからと推測できそうです。史実によると、元韓の将軍だった騰は秦に投降したのち、韓を攻め王である安(あん)を捕虜にし、秦への併合に一役買ったとされています。

実在した登場人物⑤壁

信に「壁のあんちゃん」と呼ばれるキングダムの壁(へき)にも、実在のモデルがいるようです。卓越した能力を登場人物の多い中、壁は平凡で現実味のあるキャラクターとして描かれています。そんな壁については、史記にたった一文だけ『将軍壁死』と記述があります。原作者はこれを「壁という将軍が死んだ」と捉えたようですが、のちに「将軍が城壁の中で死んだ」という解釈ができると気づき、壁を生存させる展開に物語を変更したそうです。

実在した登場人物⑥呂不韋

呂不韋(りょふい)はキングダムの中でも、実在のモデルが有名な人物です。キングダムでの呂不韋は元々商人でしたが商売の才に恵まれ、出世した後も度々その商才で政治的活躍を見せ、子楚の将来性を見出して投資をしています。実在の呂不韋も商人から立身出世した人物であり、子楚に投資をした史実があることから、実話を元に練られた登場人物と考えられています。

実在した登場人物⑦昌文君

キングダムの昌文君(しょうぶんくん)は政傘下の家臣であり、左丞相(じょうそう)である人物です。質実剛健な性格から周囲からは厚い信頼を得ています。元武人ということもあり、軍事でも頼りにされている存在です。しかし王都奪還時の自身の不甲斐なさを恥じ、君主を補佐する最高位の丞相になることを目指します。史実でも昌文君は左丞相として政治活動を行っていたようです。

実在した登場人物⑧楊端和

『山界の死王』と呼ばれる美女・楊端和(ようたんわ)もまた、実在のモデルがいる登場人物です。楊端和は、嬴政や信が山の民に助けを求めた際に対面した女王です。祖先を虐殺された恨みから当初は嬴政に殺意を抱いていましたが、全中華統一に賛同し手を組むことになります。合従軍での活躍を経て、六大将軍第四将に任命されました。史実に登場する楊端和は男性で、山の民ではなく秦の将軍とされています。

実在した登場人物⑨王騎

キングダムの王騎(おうき)は六大将軍の一人であり、信が目指すべき人物の一人でもあります。かつては『秦の怪鳥』と呼ばれるほどの戦いぶりで昭王に仕えた武人でした。昭王の亡き後、戦いからは退いていましたが趙軍の襲来時に復帰します。馬陽戦で瀕死の重傷を負いながらも、信、騰、蒙武に未来を託した後に命を落としました。実在の王騎も将軍に命じられていますが、その2年後の同僚の蒙驁が韓の13城を落とした同年に死没しています。

実在した登場人物⑩王翦

鎧に身を包む王翦(おうせん)は、六大将軍第三将軍であるキャラクターです。軍略に長け、常に”勝てる戦”をする人物として恐れられています。「王になる」という野心を持っているとも言われ、利己的な描写が目立つ人物です。捕虜や投降した武将が有能だと判断した場合は、虐殺せず自分に配下になるよう命じることもあります。実在の王翦も利己的な人物として知られており、「勝利したら褒美が欲しい」という手紙を送りつけたり、保身的な一面があったりという実話があります。

実在した登場人物⑪肆氏

キングダムでの肆氏(しし)は成蟜に仕えていた人物で、反乱の中心人物でもあります。反乱が失敗に終わると、政に仕えることになりました。処刑をせず迎え入れてくれた恩から、その後は政に忠誠の限りを尽くし働きます。肆氏のモデルについては、史実に詳細が記載されておらず、謎の多い人物の一人とされています。

実在した登場人物⑫竭氏

竭氏(けつし)は、政への反乱を企てた張本人です。野心家で、呂不韋の失脚を目論んでもいました。成蟜を見捨てて逃げようとしたところを騰に阻まれ、バジオウとシュンメンによって斬首され命を落とします。竭氏も肆氏同様、謎の多い人物で史実で明らかになっていることがほとんどありません。しかし王弟が自殺した時に部下も死亡したと考えられ、その中の一人に竭氏もいたと推測されています。

キングダム】オリジナルの登場人物や武将

先述した通り、キングダムは実話を元にしながら、多くのオリジナル要素を取り入れた作品です。史実には存在しない人物や武将が多く登場し、その一人一人が物語を盛り上げる重要な役割を担っています。ここではキングダムのオリジナルキャラクターを紹介しています。

オリジナルの登場人物①後宮

後宮(こうきゅう)は、男子禁制の城です。1000人以上もの名家出身の宮女たちからなり、王宮の後ろにひっそりと佇んでいます。女性だけで構成されながらも絶対的な権力を持っているようです。後宮を代表する登場人物は、陽(よう)と向(こう)です。陽は身分の高い生まれであるのに対し、向は貧しい出自ですが、そんな2人は親友で、支え合う関係として描かれています。後宮自体は存在したものの、陽・向という2人は架空の人物です。

オリジナルの登場人物②秦国

秦国には麗(れい)・瑠衣(るい)という2人のオリジナルキャラクターが登場します。麗は政と向の間に生まれた女児です。向がオリジナルキャラクターであることと、史実に残っている始皇帝の子供の名前と一致しないことから麗もまたオリジナルの登場人物であると考えられています。一方の瑠衣は、元々政を陥れようとした王弟の第一夫人でした。当初政に対していい感情を抱いていなかったものの、中華統一の目標を耳にしたことで和解します。

オリジナルの登場人物③王翦軍

王翦軍は、王翦以外の登場人物は全てオリジナルのようです。その筆頭に上がるのが「ギギギ」という笑い方が特徴的な亜花錦(あかきん)でしょう。亜花錦は比較的最近登場したキャラクターですが、古参キャラに引けを取らない人気を誇っています。戦場で性格に状況を把握し、的確な戦術を立てることのできる、非常に頭の切れる武将として描かれているキャラクターです。

オリジナルの登場人物④媧燐軍

媧燐軍の武将、媧燐(かりん)は楚国の将軍です。背が高く豊満なバストを持つ女性で、たった一発の蹴りで成人男性の首をへし折るほどの怪力を持っています。しかし当の本人は高身長をコンプレックスに思っているようです。項翼(こうよく)と白麗(はくれい)は2人とも楚の武将ですが、媧燐はこの2人に身長のことに触れたら殺すと忠告していました。

オリジナルの登場人物⑤藺相如軍

藺相如(りんしょうじょ)は趙の三大天の一人です。キングダムでの藺相如はあくまで知将であり、武力を持たないキャラクターとして描かれています。そこで藺相如の直属の部下である2人の武将が、藺相如の武勇として圧倒的な武力を発揮し、軍に貢献しました。その2人の武将は名を堯雲(ぎょううん)、趙峩龍(ちょうがりゅう)と言います。この尭雲と趙峩龍は、実話に登場しません。

オリジナルの登場人物⑥桓騎軍

残虐な将軍・桓騎(かんき)が率いる軍のキャラクターたちも、オリジナルの登場人物です。軍の中心人物は参謀の摩論(まろん)、副官の雷土(らいど)と黒桜(こくおう)、厘玉(りんぎょく)、千人将のオギコと那貴(なき)、ゼノウ一家のゼノウ、砂鬼一家の砂鬼(さき)の8人です。この8人はいずれもオリジナルキャラクターとして描かれています。

オリジナルの登場人物⑦竭軍

王弟の反乱を手引きした竭の率いる軍の一員である魏興(ぎこう)もまた、史実には登場しない人物の一人です。後一歩で首を奪うというところまで嬴政を追い詰めますが、昌文君が割って入ったことで失敗に終わります。最期は王騎によってあっけなく斬殺されてしまいました。

オリジナルの登場人物⑧李牧軍

趙の三大天の一人、李牧(りぼく)の率いる軍は、合従軍編では合従軍のトップとして驚異的な強さを見せつけました。吊り目が特徴の女武将・カイネは李牧の撤退戦術に意義を唱えますが、実際を見てその説得力に感銘を受け、考えを改めるようになりました。そんなカイネも実在しないキャラクターの一人です。

オリジナルの登場人物⑨楊端和軍

山の民である楊端和軍のバジオウ・タジフ・ランカイもキングダムのオリジナルです。中でもバジオウは悲惨な過去を持っていることで話題を呼びました。バジオウの一族は戦で滅び、バジオウは一族の体を食べて生き残ります。獣同然だったバジオウを楊端和は受け入れ、そのことに恩を感じたバジオウは人間としての心を取り戻し、楊端和に忠誠を誓うのでした。

オリジナルの登場人物⑩趙荘軍

趙荘軍のオリジナルキャラ・趙荘(ちょうそう)と万極(まんごく)の両者は、趙国の将軍でした。趙荘は三大天・龐けん(ほうけん)に代わり、総大将を務めることになります。万極は、秦に敗れた長平の戦いで犠牲になった武将たちを率いていました。このことから万極は秦に対し、非常に強い恨みを持っています。

オリジナルの登場人物⑪廉頗軍

廉頗(れんぱ)軍は、将軍・廉頗を中心に4人の武将で構成されており、秦国の脅威となった軍隊です。4人の武将は廉頗四天王と呼ばれ、それぞれ名を輪虎(りんこ)・介子坊(かいしぼう)、羌燕(きょうえん)、玄峰(げんぽう)と言います。4人のはいずれもオリジナルの武将です。輪虎は信との一騎打ちで命を落としています。

オリジナルの登場人物⑫魏火龍七師

魏火龍七師(ぎかりゅうしちし)は安釐王(あんりおう)の時代に活躍した7人の英雄です。その能力・個性は、武力に優れた者もいれば知将と呼ぶに相応しい者まで、様々な分野に優れており、非常に重宝されています。信たちと関係の深い人物もいるようです。しかし、いずれのキャラクターもオリジナルの武将だとされています。

【キングダム】実話や史実に対する世間での評判や人気

キングダムにはオリジナル要素も多く盛り込まれています。そのため、史実に詳しくなくても、キングダムの魅力的なキャラクターやストーリーを楽しんでいるファンは大勢います。しかしこちらの意見のように、見たり聞いたりしたことのある地名や人物名があると、よりキングダムを楽しみやすくなるという声もありました。

キングダムから影響を受け、中国史に興味を持ち始めたという人もいます。もともと歴史に詳しくなかった人でも、キングダムにハマればハマるほど歴史を知り、この作品を理解しようとしたくなるようです。

こちらは、史実だからこその予想された展開でも胸が熱くなるというコメントでした。展開が予想できてもハラハラドキドキしてしまうのは、「それほどに戦いの描写が臨場感に溢れ、ドラマチックであるから」という意見が多く見受けられます。

【キングダム】実話の史実にオリジナル要素を加えた作品

キングダムは実話に多くのオリジナル要素を盛り込んだ作品でした。実話とオリジナルの両方の要素を持つからこそ、考察を深めたり、展開を予想したりという楽しみが読者の間で深まっているようです。信が『李信』を名乗ったことで、今後の展開にはより一層実話が深く絡んでくると予想されています。史実と比較しながら、今後のキングダムのストーリーを楽しんでみてはいかがでしょうか?

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